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  HOME 診療日記(在宅ホスピス編) 自分らしく生きる
  2013年 2月 16日 (土)

自分らしく生きる


「抗がん剤の副作用が強くて、死んでしまうかと思った・・・」
「苦しい抗がん剤をするなら、抗がん剤をしないで死にたい」
「入院はしたくない」
「延命はしたくない」
「民間療法・・・それと、自分の力で生きたい」」

副作用で苦しむ姿に
「抗がん剤は止めよう」と娘が諭し、
治療を中止し、在宅療養といっぽの訪問が始まった。


抗がん剤による苦しみからは解放されたものの、
がんによる発熱や腫瘍の増大による痛みに襲われることは幾度となくあり
日々異なる体験をもたらした。
しかしNさんは・・・

「家にいると、病人ではないようだわ・・・」と、
趣味と仕事を兼ねた、レザークラフトの作品を看護師に見せ、
やり方を教えてくれ、作品をプレゼントしてくれた。
キラキラと瞳を輝かせながら、仕事や自分の生き方を語る姿は
とてもイキイキしていて輝いていた。

何より、住み慣れた家で家族と過ごすことができ
人間らしく、自分らしく、毎日を過ごすことができた。

「子供たちに大切にされ幸せだと実感している。」
「今まで自分が娘にしてきたことを娘がしてくれる。」
「病気になって得たことは『娘の優しさ』」

「娘も息子もお嫁さんも自分にできることを見つけて
それぞれにサポートしてくれる。」
娘と息子に「このまま家で暮らして良い?」と聞いたら、
「大丈夫だよ。この先のことは何があっても大丈夫だと言ってくれた」
自分が居なくなってもみんなでやっていけると思えた。
逆に、みんなが良くしてくれるから少しでも元気になりたい・・・


痩せて体力が落ち小さくなっていく母の姿に娘は
「仕事を休んでずっと看てあげたい・・・」と悩んだが、
本人が望むことを中心に仕事と両立しながら出来る範囲で支えていった。


自分のことが出来なくなり、下の世話になるようなら早く逝きたい・・・
そんな事を言いながら、

形見分けは1か月前に・・・

亡くなる2日前には食事もでき・・・

最期まで下の世話になることなくNさんは生き抜いた。


自分らしく死ぬのではなく
自分らしく生きる。

ガンと宣告を受け、生きるより死の方が頭の中を支配することもあったが
全てを認め、全てを受け入れ、その中でも自分らしく生きぬくことをNさんが教えてくれた。


痩せて小さくなったNさんだったが
最期のお顔は穏やかで、女神さまが微笑んでいるような・・・
とってもきれいなお顔だった。





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